英助、生まれて初めて、大きな竜巻に遭った。8月2日の午後、ギィーンと耳を裂くような金属音が突然に襲ってきた。
完成間近の我が家の窓際でコンピューターに向かっている時だった。
外にいる初美が両手を上げて、なんや慌てふためいてわめいている。窓のガラスが2重張りなのと大きな金属音で初美の声は聞こえない。慌てて外へすっ飛んだ。
目の前で、 庭にあったプラスチック製の安楽椅子がクルクル回りながら、家の屋根ほどの高さまで巻き上げられた。竜巻だ!!
椅子は 一度落ちてきたが、またクルクルと巻き上げられて、裏山に投げ捨てられた。竜巻は、砂埃や、枯草を巻き上げながら、隣の牧場へ移動して行った。
あれよ、あれよという間の出来事や。 幅15メートルぐらいの竜巻だった。
巨人のキチガイが猛スピードでやって来て、手当たり次第に何でももぎりとり、壊して、空へ 巻き上げ、そして、投げ捨て、あっと間に逃げて行く感じや。
今まで、テレビで見ていた竜巻は黒い煙のようだったけど、俺を襲った竜巻は、色ナシや。無色の強風と、金属音や。
竜巻の通り過ぎた後、家と庭を見回った。家に被害はなかったが、裏庭に俺の肩ぐらいまで伸びていた竹の二束が、根こそぎなくなっている。一束20本から30本ぐらいで人差し指ほどの太さの竹が密集して生えていた。後でわかったが、竹の束は、はるか下の道に転がっていた。
たまに暑い日に、小さな竜巻(ここの人はWHIRL WINDと言っている)があるが、こんな大きいのは初めてや。近所の被害はどうやろか。近くの友達のバブの家で竜巻の話をしたら、狐につままれたたような顔をしている。竜巻はごく限られた場所での出来事なんや。
このところ、115度F(46度C)以上の暑い日が続いている。それで竜巻も起きやすくなっているンや。人間も身体のどこか悪いと熱がでる。地球もどこか悪いから熱が出るンや。地球も生きているのや。生きている地球を大事せんと熱は下がれヘンで。
フリムン徳さん