「フリムン徳さんのアメリカ便り」 第21号   『鏡の部屋』
                                    

2006.2.26

 「霊の社会、あの世の社会の人と話がしたい」という私の夢がかなえられそ
うでんね。私の育った喜界島では、仏壇の位牌に向かって、「ウヤフジ様、子
供達や家内中が病気をしないで、いつも元気であるようにお守り下さい」とお
願いし、悪い事が起きてもうれしい事が起きてもウヤフジに報告し、お願いし
ていた。姿は見えないけど、ウヤフジはみんなの守り神であった。病気も治す
のもさせるのもウヤフジと思っていた。

 墓が汚れている時は誰かが病気をする。ウヤフジがさせるのだ。家族の誰か
の頭痛がなかなか治らない時はお墓へ行き、納骨されている墓を開け、ウヤフ
ジの頭蓋骨や骨に絡まった木の細い根っこや、土をふき取りきれいにする。現
在は火葬なので頭蓋骨は原形をとどめないが、昔は土葬後改葬をして納骨した
ので墓の中に形のしっかりした頭蓋骨が納められていた。頭蓋骨に絡まった根
っこや、汚れがウヤフジを苦しめると、ウヤフジは家内の誰かに頭痛をさせた
り病気をさせて知らせるのだ。お婆さん達がウヤフジの頭蓋骨や骨を赤子を抱
くように大事に手にしてきれいに拭き取るのを今でもはっきり覚えている。

 オメトお婆さんの影響で私はずーっとウヤフジが自分を見守っていると信じ
ている。だから、困った時はいつも助けて下さいとウヤフジに祈る。私はほと
んど毎晩夢を見るが、最近、その夢の中で多くのウヤフジたちが揃ってご馳走
を食べる夢が1週間以上続くとたいてい身内や知り合いの誰かが死んでしまう。
どうもウヤフジは私に身内や知り合いの死を知らせたいようだ。喜界島の美代
ねえに言わせると私は神憑りの人間だそうだ。

 昔、美代ねえが喜界島からロスサンジェルスの私の家へアメリカ見物に来た。
長年ロスサンジェルスに住んでいる遠い親戚のお爺さんも美代ねえに会いに私
の家へ来た。私はその前の晩、このお爺さんが雲に乗って私の家の玄関へすー
っと入って消えてなくなった夢を見た。それを美代ねえに言うと「そんな縁起
の悪い話はするな」と叱られた。ところがその夢は的中した。その日の昼、そ
のお爺さんは島の思い出話をいっぱいして、テレビを見ながら脳溢血で倒れて
あの世へ行ってしまった。

 私はウヤフジと正夢として夢の中で会っているが、ウヤフジと会う方法をよ
り具体的に書いた本を見つけた。これはやはりウヤフジが私にこの本と会うよ
うに仕向けたに違いない。一気に読み上げた。福島大学教授・飯田史彦著「生
きがいの創造」と言う本です。死んだあの世の人のことが書かれている。その
内容が喜界島で小さい頃に聞かされていた年寄りのおじいさん、お婆さんの言
っていた事とほとんど同じなのです。

1、あの世はある。
2、死ぬ時には暗いトンネルを潜りぬけてきれいな花畑が見えてくる。
3、死ぬ時は、自分の死んだ親兄弟、親戚が並んで迎えに来ている。
4、死んだら、すべての苦しみから開放される。
5、死んだ人は生きていた時に受けた仕打ちもすべて許す。
6、死んだら、また誰かの体に入って生まれ変わる。
7、ウヤフジはいつも私達を見守っている。
8、どんな苦しみも、どんなひどいことも、それは自分に与えられたものだか
  ら、逃げていけない。だから、それを克服するために頑張る、その頑張り
  が自分を進歩させる。そしたら、必ず、開けてくる。

 しかもそれが、アメリカ、イギリスの臨床心理学者、哲学者などが、何百人
以上の実際に経験した話や行動を統計としてまとめた本です。ムーデイー博士
自身も死んだ人が現れる鏡の前に座って、実際に自分の死んだお婆さんと会い
会話をしているのです。彼は父方のお婆さんに会いたいと念じながらその鏡の
ある部屋に入ったのですが、現れてきたのは母方のお婆さんだったのです。自
分が会いたい人より、あの世の会いたい人が先に現れるそうです。死んだ人に
会うのは錯覚の現象ではないということです。私はいつも願っていました。死
んだ家族、親戚、友人に会って話をしたかったのです。死んだ人と話せるなん
て、こんなうれしい、楽しいことがあるかいな。

 さらに、あの世の人と会える方法が詳しく書かれてある。私はそのとおり早
速実行してみた。 最近完成した家の部屋の壁に、幅1メートル高さ1.2メー
トルの大きな鏡をその下端が床から90センチの位置に掛け、その鏡から95セン
チメートル離れたところに安楽椅子を置く。その安楽椅子にリラックスして座
れば、肩の位置がちょうど鏡の下端と同じ線になるようにしている。その安楽
椅子の横に15ワットの小さな電球のスタンドを置く。これがアメリカであの
世を研究している学者が、今までの臨死体験者や、霊の世界を経験した人の経
験から統計をとって考え出したあの世の人と会う鏡の部屋なのです。

 あの世の人が現れてくるのはだいたい夜中の3時ごろが多いそうです。私は
夜中に起きて、この部屋で「お婆さん、現れてくれ、現れてくれ」と念じてい
ますが、現れてきまへん。念じるだけだはアカンと思い、声にも出してお願い
しているのですが、でもまだ現れて来まへん。お酒と、線香を供えたら現れて
くれまんねやろうか。月や火星に行くのが夢という人も多いが、私の夢はあの
世の人と会って話をするのが夢なんや。
フリムン徳さん

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徳さん」の出身地の鹿児島県大島郡喜界島の「小野津集落」は昔からの港でした。集落民の性格は豪放で発展性があり常に島外に目が向いていたようです。島外においては郷友会(郷土出身者の集い)の活動も盛んだということです。私も何故か縁あって知り合いが多いです。結婚式などにもお呼ばれしました。

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