「フリムン徳さんのアメリカ便り、第23号「社長交代」
                                    

2006.3.22

腹が立ちますけど、腹が立てられまへん。
相手が強いから。
泣きとうなりますけど、泣けまへん。
男だから。
悔しいですけど、どないにもできまへん。
身体が言うことを聞きまへんから。

どうしてもっと優しい言葉で言ってくれまへんのやろうか、
どうしてもっとゆっくり歩いてくれまへんのやろうか。
引っ張られて落としそうになります。
歯を食いしばって、足元に力を入れます。
そうすると、歩くのが遅くなるのです。
今、私と嫁はんは二人で大きなベッドのマットレスを運んでいるのです。

「どうして、もっと早く、歩けんの」と大きな声で怒鳴るのです。
いつかどこかで聞いた言葉です。
いつか使っていた大声です。
この大きな怒鳴る声は元気な時に、
私が嫁はんや子供に使っていた言葉です。
怒鳴られるのは怖いです。
今は私が怒鳴られる立場です。
まったく逆になりました。
怒鳴る大きな声は人間の心をまずくします。
子供は親の言葉を真似ると言います。
嫁はんは旦那の言葉を真似るようです。

落としそうで我慢できないので、
一度降ろして休ませてくれと言います。
しぶしぶと、降ろして、休ませてくれます。
どうしてこんなに小さい嫁はんにこんな力があるのかと不思議に思います。
顔を見ると勝ち誇ったような顔をしています。
社長さんみたいな顔をしています。

そうです。
私達夫婦は社長を交代しました。
私がバッドワイザーを飲みすぎて、
痛風と関節炎になり、働けない人間になったからです。
私の本職は力持ちの大工さんでした。
家の建て方も重たいものの運び方もよく知っています。
でも、 頭で知っているだけではだめです。
力がないとだめとわかりました。
ホンマに、よくわかりました。

よぼよぼとしか歩けないのです。
走れないのです。
力が出ないのです。
見かけは元気でも私は人形男みたいなものです。
身体は大きくても、力がない人は力のある人に従うべきです。
働いて収入を得ている嫁はんに仕えるのみです。
力のある、収入のある嫁はんの言うとおりするのです。
ここで私も年金をもらって稼いでいると言うと、
もうお終いのような気がするのです。
だから自分の収入のことは禁句です。
そして文句を言わずに従うのです。
これが家庭平和の根本です。
世界平和の一部です。

自分の意見が入れられない時はうそを言います。
そのうそも見抜いているようです。
社長は従業員のうそを見抜かないではだめです。
なるべく負けるようにしています。
社長さんには勝たせないとだめです。
社長さんは勝たないとだめです。
でも私は「負けるが勝ち」という言葉を知っています。
フリムン徳さん

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徳さん」の出身地の鹿児島県大島郡喜界島の「小野津集落」は昔からの港でした。集落民の性格は豪放で発展性があり常に島外に目が向いていたようです。島外においては郷友会(郷土出身者の集い)の活動も盛んだということです。私も何故か縁あって知り合いが多いです。結婚式などにもお呼ばれしました。

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