フリムン徳さん応援団の皆さん、暑中お見舞い申し上げます。
フリムン徳さんです。お変わりありませんか。今年も暑さに負けず頑張ってく
ださい。
私の住んでいる山の砂漠と呼ばれるブラッドレーも灼熱の暑さが続いていま
す。暑さというものは耳と頬にとくに感じられるようです。外に出ると熱いのり
状の液体が耳と頬に貼り付くような感じです。その熱い液体を通して空を見上
げると雲ひとつないどこまでもどこまでも深い青空です。華氏100℃(摂氏38℃)
以上の毎日です。
去年まで、こんな暑さの夏をおんぼろトレーラー(キャンピングカー)で9年
間、過ごしました。サウナ風呂の中で生活してきました。でも暑いからと言って、
素っ裸ではありません。ちゃんと服を着ての生活です。勘違いしなはんなや。冷
房なしの車の中と同じですから、トレーラーの中は外よりも暑いのです。最初の
2、3年は、夏は夜9時までは暑くてトレーラーの中に入れませんでした。でも、
ふしぎなものです。慣れとは怖いものです。慣れてくるとサウナ風呂の中でも住
めるようになりました。サウナ風呂の中で、日本語ビデオを見て、英語のテレビ
を見て、日本語新聞を読んで、食事をする感じです。でも、ホンマニ、暑かったで
す。そして、いつの間にか9年が過ぎていました。
ところが今年の夏は違います。冷房完備、ガス見込みの生活です。天国の生活
です。暑いサウナ風呂から出て涼しい風に当たり、冷たい生ビールをぐっと一気
に飲み干すような爽快感です。未完成の家が完成したからです。サウナ風呂の
中のようなトレーラー生活から開放されて、冷房完備の真新しい家に住んでい
ます。ウヤフジのお陰です。この涼しさの中で生きるのがホンマの人間の生活だ
とも思います。また、これが金持ちの生活かなあとも思います。9年間のサウナか
ら出た後の涼しい部屋の爽快感は格別です。"苦あれば楽あり"の言葉の意味が
よくわかりました。
私の家は一日中冷房が効いています。でも冷房に一切電気を使っていません
。どのようにしているか言い当てることができる人は少ないでしょう。
答えは、夜の冷たい空気を使うのです。この辺の山の砂漠は、昼間は灼熱地
獄だけど、夜は寒いくらい涼しくなるのです。夜、涼しくなると窓を開けて外
の冷えた空気を部屋に取り入れます。翌朝、お日様が上がって外の温度が上が
り始めると窓を閉めて涼しい空気が外に逃げないようします。
日本の家は涼しい空気を一日中家の中に閉じこめておくことはできないでし
ょう。ここアメリカの家はそれができるように造られているのです。そして、
それは法律で決められているのです。アメリカ政府が強力に押し進めているエ
ネルギー節約法です。アメリカではエネルギー節約のために、家を建てるときは
天井、壁、床に一定の断熱材(インシュレーション)を入れなければなりません。
そうでないと家が建てられないのです。建築建物検査官はこの断熱材の検査が
一番うるさいのです。私の家は断熱材をびっしり入れました。その効果はてきめ
んでした。いくら外が暑い日でも家の中は昨夜の冷気のままです。信じられな
いほどです。これで政府が「断熱材を入れろ」とうるさく言うのが理解できまし
た。
電気を使ってクーラーを動かしたり扇風機を回したりしないで、夜の冷たい
空気を使うというのは素晴らしい生活の知恵です。人間は自然に逆らわずに、自
然を利用して、自然と共に生きるべし。フリムン徳さんはようわかりました。こ
の暑さも10月までです。11月からは寒くなります。
今年の寒い11月には顔の見えないアメリカ便りでなく、顔の見えるアメリカ
便りを持って23年ぶりにフリムン徳さんが日本へ帰ります。寒い日本で会える
ことを楽しみにしています。
フリムン徳さん