「フリムン徳さんのアメリカ便り」第69号
「タトゥー」
                                    

2011.10.3

英語で刺青(入れ墨)のことをタトゥーと言う。 
 夏になると、カリフォルニアではタトゥーが花盛りである。気候の温暖な
カリフォルニアでは夏になると男もオナゴはんも、肌を好きなだけさらけ出す。
スケベーのフリムン徳さんの夏は、必要最小限の布で覆われたオナゴはんの肌に
目が行って疲れる。フリムン徳さんが買い物に行くマーケット、ウ+ールマート
は目いっぱい肌をあらわにした男はん、オナゴはんの品評会のようである。ア
メリカの夏の観光コースにこのウ+ールマートも加えたら、日本人の男たちは喜
ぶに違いない。


 オナゴはんの白いプチプチの肌にも、よれよれになりかけた肌にもタトゥー
が彫り込まれている。日本の刺青は身体に「彫られている」という表現がふさ
わしいが、アメリカのタトゥーは身体に「描かれている」感じだ。いかにも安
っぽい。腕、首の回り、足の甲、足の指先、すね、手の甲、尻と、ところ構わ
ず彫り込んである。全身にしている人も結構いるという。自分の恋人の名前、
チョウ、蛇、ハート型、花、何でも描いてまう。漫画みたいや。ほとんどが電
気針彫りで、短時間でできるらしい。
 日本のヤクザの刺青はシャツの袖からの「ちらつかせ」に威力があるが、ア
メリカのタトゥーは丸見せで値打ちがない。日本では刺青彫り屋の店は見たこ
とがないが、アメリカの街では「タトゥー」という看板を掲げた小さな店をよ
く見かける。

 日本のヤクザの刺青には重みがある。何日も、何ヶ月もかけ、高い金をかけ
ての手彫りである。筋肉隆々のヤクザは腕に彫る。腕の筋肉に自信のないヤク
ザは背中に裸の女体を彫るらしい。昔、大阪で商売をしていた頃、百万円近く
もかけて、背中に彫った女体の刺青を見せてもらったことがある。鮮やかで、
迫力十分で少しビビッた。でも素晴らしかった。精巧に作る日本のモノ造りと
マニュアル通りにしか作らないアメリカのモノ造りとの差は、刺青とタトゥー
の差にも現れている。同じものでも日本のは刺青と呼び、アメリカのはタトゥ
ーと呼ぶのがええように思う。

 アメリカ人の彼らにしては、タトゥーは単なるアクセサリーである。日本の
ヤクザの刺青と同じ効果は期待していない。でも、死ぬまで肌からはずせない
アクセサリーだ。フリムン徳さんが通っているクエスタ・カレッジの白人の英
語の先生に聞いてみた。

「就職の面接試験で、タトゥーは影響しませんか」
「全く関係ありません。私の息子もタトゥーをしていますよ」

と言う。そう言えば、カリフォルニアではタトゥーをしたポリスを何度も見た
ことがある。日本で刺青をした警察官、考えられまっか?日本では刺青はヤク
ザの印、就職ができない。どうして国が違えばこうも違うのか。

 でも、アメリカ全体がタトゥーだらけかと言えばそうではない。一昨年の夏、
カナダに隣接するモンタナ州へ行く機会があった。モンタナの住民はほとんど
白人である。青空市場を見て回ったが、東洋人は一人見かけただけだった。服
装はTシャツや軽装がほとんどで、カリフォルニアと変わらない。でも、Tシャ
ツやパンツから突き出ている腕、足にタトゥーをしている人を一人も見なかっ
た。後でわかったことだが、モンタナやアイダホなどは白人主義の州のようだ。
タトゥーをしている人や白人以外の人種には口には出さないが差別があるらし
い。そう言えば、

「徳さん、モンタナ、アイダホ、オレゴンでは、日本人はバーには一人では行
かないほうがいい」

と聞いたことがあった。

 フリムン徳さんは日本を離れる前の約8年間、道頓堀や北新地で二号さん相
手に、じゅうたん、カーテン、家具の販売や夜逃げの引っ越し運送の商売をし
ていた。二号さんの旦那にはヤクザの親分が多かった。商売上の接触から、ヤ
クザの刺青を目にすることも度々だった。ヤクザにとって刺青は自慢の宝だ。
高い金を払い、痛い目をして彫ったものである。他人に見てほしいのである。
だから、ヤクザを裸にするのは簡単だ。「刺青を見せてくれ」である。

 それにしても、日本のヤクザの刺青はアメリカのタトゥーと比べると、立派
な芸術品である。だが、その立派な芸術品はアメリカに持ち込めない。アメリ
カの空港の移民官は日本人入国者の刺青や小指のない人には注意を払っている
とのコトである。
フリムン徳さん

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